北海道移住コンシェルジュブログ

2019/09/06
まちづくり

釧路・帯広で講師のお仕事


今週は、釧路と帯広へ出張。


「離職対策セミナー」の
講師のお仕事をやってきました。


セミナー開催の目的は、
若者の早期離職を食い止めること。


テーマ設定が、
時代に即したタイムリーな
ものであったこともあってか、
高い問題意識を持つ企業の方々が
参加してくださった印象でした。





離職対策の「好事例」の発信が
今回、私に課せられた
ミッションだったわけですが、
参加者の皆さんの意識としては
「採用」の部分に
より高い関心があるのかなと思う
場面も多くありましたね。


限られた時間の中のことでしたので
「採用」の部分に関して言うと、
私がお伝えしたいことの半分も
話をすることが叶わずにタイムリミット。


それでも、何らかの形で
皆さんの今後の仕事の中で
活かしていただけるものがあったとすれば、
救いかなと思っています。





釧路には前日入りできたので、
幣舞橋を渡って米町地区へ。


高台からは、市街地の彼方に
雄阿寒岳、雌阿寒岳を望むこともできます。



函館や小樽のように、
町全体がノスタルジックな雰囲気を
醸し出しているわけではないけれど、
この米町地区には、
北の港町らしい風景が広がっていました。




こちらは、「米町ふるさと館」。


釧路市最古の木造民家で、
格子窓や漆喰の塗り壁のほか、
富の象徴とされる「うだつ」も
ほぼ、当時の状態そのままに
しっかりと保存されているんですよね。


外観もとても素敵だから、
興味本位で立ち寄ったと思われる
クルーズ船の外国人観光客の方々も
目をキラキラさせていたのが
なんとも印象的でした。


案内係は、
シルバー人材センターに登録している
ボランティアの皆さん。


片言の英語を駆使し、
身振り手振りを交えながら、
一所懸命に案内をしておられました。


まあ、その「おもてなし」の姿は
素晴らしいのひと言。


フランスからやってきたという
年配のご夫婦も


「great!」


「fantastic!」


を連発していました。





気になったので、
ちょっと調べてみたのですけれど、
この建物、釧路市の文化財として
登録されていないのですよね。


ということは、
時の体制によっては、
簡単に取り壊されてしまうリスクを
抱えているということ。


とても親切に
案内をしてくださったスタッフの方も
「米町ふるさと館」の行く末を
案じていらっしゃったことは
少しばかり心配です。


IRをつくって外国人を呼ぶのも
確かにひとつの方法。


けれど、「ヒト」「モノ」「コト」という
地域に残された現存する文化に
興味を持ってくれるような
外国人の「良いお客さん」を
戦略的に呼んで来る方が
持続可能な地域づくりにとって
もっと大事なことなんじゃないかと
思ってしまうわけです。


地元の人々から見れば、
毎日そこにある
当たり前の風景でしかないんだけど、
よそ者から見れば
ドキドキ、ワクワクの
非日常の絶景だったりということは
本当によくある話。


個人的には、
この「米町ふるさと館」を
もっともっと大事に
育てて行けばいいのになあと
思ったりもします。






とは言え、自治体が所有する
「ハコモノ」の未来を決めるのは、
地元の方々の民意であるのは
言わずもがなです。


例の札幌の住宅街に現れたクマを
市が苦渋の決断で
駆除したことについて、
よそ者が、当事者意識を一切持つことなく
感情的にクレームを送り付けるなんてことが
許されるわけがないのと
事情は似ていると言ってもいいでしょう。


その中で、
よそ者としてひとつだけ言えるのは、
決して元に戻ることができないような
重要な決断を迫られた場面では、
是非、一度立ち止まって、
本当になくしてよいものなのか
多角的な視座で考えてみてもらいたい
ということです。


地域課題について、
原発の立地など広域に影響が及ぶような
案件でないという条件の下では、
少なくとも、必要なプロセスを
きちんと踏んで出した答えなら、
よそ者はその結論を受け入れ、
安易な批判などすべきではありません。





それにしても、今回の出張では
「ホスピタリティ」の面に
大きな課題を抱える北海道にあって、
釧路の中心から少し離れた閑静な場所で
心暖まるワンシーンに出逢えたことは
私にとって、とても大切な思い出の
1ページなるような気がしますね。


これからも、
誰に見られているわけでもないところで、
心のこもった「おもてなし」を続ける
ボランティアの皆さんを
ずっと応援していきたいと思っています。