北海道移住コンシェルジュブログ

2019/02/08
北海道の日常

最強寒波報道と現実との乖離(かいり)


今日は、最強寒波がやってきたということで、
北海道内にも、ワイドショーの
レポーターの皆さんが大勢やってきて
「寒い」「危険な寒さだ」
「道民も寒いと言っている」などと
騒ぎ立てているシーンを
朝からよく目にすることに。


「地域の現実を伝える」
という観点から言うと、こうやって、
積極的に情報発信がなされることは
好意的に受け止めていいと思います。


ただ、その発信される情報が
もし正確なものでないとすれば、
公共の電波を使って、
誤った情報が広く拡散されることになり、
結局、いったい誰のための
報道だったのかということにも
なりかねません。


ところで、弊所がある
千歳市の今の外気温は、-13℃。


10年前くらいのデータにはなりますが、
気象庁が公表している千歳観測所の
2月の平均最低気温がー12.8℃ですから、
今朝は、平年並みの
気温ということになります。


さて、道外にお住いの皆さんに、
今朝のTV報道から、この「現実」が
きちんと伝わっていたでしょうか。


確かに、札幌あたりでは、朝の時点で
平年を下回る気温になっていますし、
全道的に、日中もほとんど気温が上がらない
という予報も出ていますから、
「寒い」という表現は、間違いとは言えません。


では、「危険な寒さだ」
という表現はどうでしょう。


例えば、「気温が低く、
雪が軽いから地吹雪に注意が必要」
といった具合に、何が危ないのか
具体的に言及する内容の報道は、
私たちにとって、
非常に有益な情報となります。


一方で、「危険だ!危険だ!」と
やたらと騒ぎ立てることに
いったい、どんな有益性があると
言うんでしょうかね。


う~ん、
なかなか理解が難しいなと思います。


少し話は横にそれますが、
私たちが、観光地などで写真を撮るとき、
映したくないものを
フレームの外に追いやってから
シャッターを押すということを
当たり前のようにやっていますよね。


メディア関係者だけでなく
私たち一般人も、こんなふうに、
都合のいい情報だけを
切り取って伝えるという手法は
日常的に利用しています。


こうした手法は、
主役を引き立たせるという効果もあって、
特に芸術の世界などでは、
極めて有用な手法なのだと思います。


ただ、こうした手法は、
時に、現実と大きく乖離(かいり)した
情報として伝わってしまうという
大きなリスクをはらんでいるのも事実です。


ガイドブックの写真を見て
いいなと思って現地に行ったら、
「エッ!?」ってなるアレです。


この例示に全く悪意はないので
ご容赦いただきたいのですが、
「札幌の時計台」や
「高知のはりまや橋」なんかは、
そんなふうによく言われますよね。


それでも、観光地に行って
「ガッカリ」するくらいなら、
別に命が危険にさらされるわけでもないし、
「フェイクニュース」に
引っかかっただけだと
笑って許すこともできるでしょう。


ところが、場合によっては
生命に危険が及ぶかもしれないような
気象情報などの重要情報を
一部だけ都合よく切り取って、
あるいは必要以上に誇張して
流すとしたらどうでしょう。


もはや、笑える話ではありませんね。


気象情報や災害情報に代表されるような
人々がきちんと耳を傾け、
正面から受け止めなければならない
性質の重要情報を、
まるでゴシップネタを伝える時と同じように
エンターテイメント化して
報道するようなTV局の姿勢には、
大きなギモンを抱かざるを得ません。


まあ、そんな時代だからこそ、
私たちが、正確な情報を知るためには、
一般の方々が、SNSなどで
何気なく発信する日常の情報にも
積極的に目を向け、私たち自身が
情報を取捨選択できる力を養う必要が
あるのかもしれないのですけれど・・・


今朝のTV報道を見て、
ちょっとイライラもした私でしたが、
北海道への移住に関心のある方に対して、
弊所がここで行う情報発信も、
客観性の高い情報を可能な限り正確に
伝えていかないといけないなと
改めて見直すことにつながったので、
それはそれでよかったかなと
前向きに受け止めたいと思います。