北海道移住コンシェルジュブログ

2019/02/04
移住者の戯言 道民14年生のつぶやき

1年間の長万部ライフが、未来の自分を変える!


この表題は、昨年の12月、
私の母校でもある
東京理科大学長万部キャンパスで
「現代科学セミナー」の講演を
させていただいた時のテーマです。


同キャンパスでは、
基礎工学部の1年生約300人が、
毎年、全国から集まってきて、
教養課程を学んでいるんですね。


私自身、かつて東京から
このキャンパスにやってきて、
1年間、長万部町に住民票を移し、
北海道民として生活していました。


言葉はちょっと悪いですけど、
いわば「強制短期移住」みたいなものです。


ここでは、全員、
寮で生活しなければならないのですが、
お風呂は温泉だし、カラオケもあるしで、
その気になれば、キャンパス内で
生活を完結させることもできてしまいます。


それでも、やっぱり街に出ることで、
町民の皆さんとの交流を通じて、
そこから「生き方の多様性」という
普遍的な価値観を学ぶことが
できたりするわけです。


もちろん、キャンパスで学ぶ
大学の勉強も大事なんですが、
多くの学生は、大学に入るまでの間、
「目標の大学に入学すること」ばかりに
意識を向けて生活してきているんですね。


だから、大学1年生というのは、
ミッションを完遂した自分に
少しだけ酔ってしまい、
他者を上から目線で見てしまうようなシーンも
実際、ないわけではありません。


けれども、まだ成人前の人間のことですから、
そんな感情を抱くことは、
決して異常なことではなく、
むしろ、誰にでも起こりうること。


そんな背景がある中で、
長万部のまちに来て、
今まで触れることができなかった
別の価値観に出逢えることは、
学生たちにとって、
かけがいのない体験となるんですね。


ただ、そのことに
1年間の長万部ライフの中で
どれだけの学生が気づけるかと言えば、
本当にごく一部なんだろうと思います。


実際、私自身も、1年間、
長万部という街で生活した体験が
こんなにも、後になって、
自分の生き方に大きな影響を及ぼすだなんて、
当時は、全く考えもしませんでしたから。


そこで、学生たちの「気づき」を
ちょっと手助けすることができれば、
もしかすると彼ら自身が、
未来の自分を少しでもいい方向に
変えられる可能性があると考えて、
講演のテーマを
表題のとおりにしたわけなんです。


長万部キャンパスで講演させていただくのは、
今回が初めてではないのですが、
いままでは組織の看板を背負っていたので、
フリーランスとして
講演したのは今回が初めて。


気になる学生の反応はと言えば、
もちろん、寝ている学生もいるのだけれど、
強い関心を寄せてくれる学生もいて、
十分な感触を得ることができました。


これは、毎度思うことなんですが、
今の学生は、私たちの頃と比べて、
視野の広い子が多いなということ。


いつの時代も、「今の若い奴らは・・・」と
若者たちを上から目線でただ漠然と
揶揄する大人が少なからずいるわけですが、
現場で感じるものは、
それとは、全く別物と言っていいでしょう。


むしろ、人類は確実に進化しているなと
感じさせてくれることの方が多いと思います。


一方、まちづくりの視点から見ると、
こんなふうに、地域全体で学生を応援すると
思わぬ形で「恩返し」があったりするわけです。


そう、ふるさと納税ですね。


自分の生活もあって、
長万部にはなかなか行けないけれど、
何かできることはないだろうか。


そんなふうに考える卒業生は少なくなく、
そこで、ふるさと納税制度を利用して、
長万部町に寄付をするという流れが
少しずつではありますが、
浸透してきたようにも見えます。


実は、東京理科大学基礎工学部の
長万部町キャンパスでの全寮制教育は
2020年度をもって終了となることが
すでに、大学側から発表されています。


2021年度からは、新たな枠組みで
長万部キャンパスを活用することも
同時に発表されていますが、
その具体的な実像は、
まだ見えてきていません。


今回の講演を機会に、
「1年間の長万部ライフ」の価値を、
もう一度、しっかりと地域と大学で
共有する必要があるんじゃないかと
強く思った次第です。


少なくとも学生と地域との間で
WIN-WINの関係は
十分に成立しているわけですから。


私自身、これからもできる限り、
長万部という地域と
積極的に関わっていきたい。


そんなふうに、いま、考えています。


まあ、「必要とされれば」という
前提が必要なんですけどね(笑)